赤い実:ノイバラ

 ノイバラ(野茨)はバラ科の落葉性のつる性低木で、別名はノバラ(野薔薇)。既に何度も記してきました。ノイバラは日本の野ばらの代表的な種で、その開花は5~6月、画像のような白い花が咲きます。花の直径は2~3センチで、芳香は強く、香水にも使われます。ノイバラは日本の野生のバラで、「ノバラ」として親しまれるものの代表的なものです。野に咲くイバラで「ノイバラ」と名付けられましたが、「イバラ」は棘のある植物全般の総称です。バラの園芸品種は世界に約3万種あるが、本種はテリハノイバラやハマナスと並ぶ重要な原種であり、万葉の時代から歌に詠まれてきました。

 花同様に目立つ「実」は萼筒が変化した偽果で、底部には萼片の跡が残ります。秋から冬(9~11月)にかけて赤く熟すと、野鳥が採食します。果実のように見えるのは、萼筒が肥大化した直径6~9mmの球形の偽果で、9~10月ごろに赤く色づきます。冬に葉が落ちた後も枝に残り、中には長さ3~4mmのそう果が5~12個入っています。ノイバラの偽果にはほのかな甘みがあり、ジャムや果実酒あるいは装飾用に使われます。