ディエテス・ビコロルの花(2)

 スイレンボク(睡蓮木)は盆栽に使われ、スイレンに似た小さな花をつけるため、睡蓮木と呼ばれます。花は春から秋まで咲き、その花は10弁花にしか見えませんが、実は5弁花で、花弁に似た5枚の萼(がく)をもっています(画像)。常緑アヤメの花弁と萼についても同じことが言えます。アヤメ属の花は、いずれも6枚の花被(かひ)からなります。花被は、萼が花弁の色と区別がつかない場合に双方を合わせて指す用語です。萼が変化した3枚の外側の花被は大きく、中央に斑(ふ)とトサカ状の突起があります。私が調べた範囲では、斑と突起の違いに応じて、さらに二種類の常緑アヤメが見つかりました。

 アフリカンアイリス(Dietes iridioides、ディエテス・イリディオイデス)は高さ30~60cmになり、花被片は6個で、外花被片には黄色い斑紋があり、内花被片の基部には褐色の斑点があります(画像)。花柱の上部は3分岐して、さらに先が浅く2裂し、青紫色の花弁状になります。ディエテス・ロビンソニアナの花の外花被片にはビコロルの濃い紫色の斑紋が黄色い斑紋に変わっています(画像)。野生ではオーストラリアのロード・ハウ島にだけ見られます。      

 花被という巧みな工夫と、常緑アヤメでの花被の変化をじっくり味わってみて下さい。

*アフリカンアイリスとディエテス・ロビンソニアナの画像はWikipediaから転用

スイレンボク

アフリカンアイリス

ディエテス・ロビンソニアナ