キンシバイの園芸種の一つがヒペリカム・カリシナムで、それに似た種がアンドロサエマム。この別名が小坊主弟切(コボウズオトギリ)。ヒペリカムの仲間には有名なキンシバイやビョウヤナギ(いずれもオトギリソウ科)があり、種類が多岐にわたりますが、園芸店で「ヒペリカム」と呼ばれるのは、常緑で花や斑入り葉を楽しむヒペリカム・カリシヌム(西洋金糸梅)と落葉~半落葉樹で主に実を楽しむヒペリカム・アンドロサエマムです。
アンドロサエマムは、実の色の鮮やかな改良品種が出回るようになって注目されています(画像)。花後は赤い実を付け、生け花の世界では花より実の方が重宝がられるそうです。名前の「小坊主」は実からの連想で、「弟切」は「弟切草」の仲間を意味しています。原産地はヨーロッパ西南部から西アジアです。
*「弟切草」伝説
平安時代、鷹匠を生業にしている兄弟がいました。兄の鷹匠は傷付いた鷹を薬草で即座に直す事で評判でした。他の鷹匠がその薬草を知ろうと、弟から巧みに聞き出しました。それを知った兄は怒り心頭、弟をナタで切り殺してしまいました。それから後、その薬草を「弟切草」と呼ぶようになりました。