オリ・パラ雑感:落書き

 最初の画像は何の画像だと思いますか。私自身、これまで気にもかけなかったボックスの画像です。画像の基本名称は「配電箱」で、正体はC.C.BOX(電線共同溝)の地上部分で、電信柱が地中化された場所に設置されるものらしいのです。そのボックスが歩道に100m位ごとに置かれています。落書きするには手ごろな位置にあるためか、このボックスは落書きの格好の餌食になってきました。今はそのボックスの落書きが消され、オリ・パラのポスターが貼り付けられています。たまたま、落書きが残り、それがポスターと混在しているのが画像です。

 新設の競技会場は建設時の仮囲い(塀)がそのまま残されていて、それが今ではバブルの役割を果たすことになるのでしょうが、その塀には落書きがありません。大きな塀に思いきり落書きするには勇気が必要ですし、別の理由も画像から察しがつきます。

 平安時代に権力者や社会に対する批判や風刺を匿名で書き、それを人目につく所に置いた文書が「落書(らくしょ、おとしがき)」と呼ばれ、それが後に「らくがき」と重箱読みされて、「落書き」となったようです。オリ・パラが近づき、湾岸地域にある落書きが消され出しました。湾岸地域の落書きはほとんどが人工物に対するもので、同じサインや符牒が多く、縄張りを誇示するマーキングのようなものばかり。面白い落書きが一向に見つからないという呑気な不満ばかりで、この落書きはどこかの有名画家の絵に見劣りするといった贅沢な批判などしたくてもできないのです。

 ボックスへの二つの書き込みを比べてみましょう。一つはオリ・パラのポスター表示、他は典型的な落書きです。どちらもボックスには本来ないもので、余計なもの。その意味で、二つはよく似た発想から始まっています。でも、私たちは一方をオリ・パラのポスター、他方を公共的なメッセージを持たない落書きと区別します。区別の基準はポスターが多くの人に有意味で、落書きが書いた当人以外には無意味、とでもなるのでしょう。

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