エンジュの花

 マメ科のエンジュは中国では高貴な木で、紀元前1200年前、周代の朝廷の最高位にある三公がそれぞれ三本の槐(えんじゅ)の木に向かって座ったことから、三公の位を象徴する木と言われる。エンジュの枝垂れ品種のシダレエンジュ(枝垂槐)はその最高種とされ、庭木として珍重されてきた。さらに、学問と権威のシンボルとされ、最高の官位は「槐位(かいい)」と称された。日本には古くに渡来している。

 近くの公園にそのエンジュの木が数本あり、今暑い中で花をつけ始めている。シダレエンジュに比べると、随分と印象が異なり、見栄えは劣る。

*「槐」の読みは音読みが「カイ」、訓読みが「えんじゅ」。日本語だけの訓読みで「えにす」、「えんじ」、「さいかち」の三種類があるが、何を指すかは不明。漢字の意味は「さやの中に数珠のような丸い種子が連なる木」で、マメ科の特徴を表している。

マメ科のエンジュのゴールド・スタンダードは冬に枝が黄色になるエンジュ。こちらは冬枯れの中で黄色の枝が美しい(最後の画像)。

 7月に開花する白い花はマメ科の花の特徴を示し、重要な蜜源植物となっている。また、開花直前のエンジュの花のつぼみを採取して日干したものが生薬の槐花(かいか)で、止血作用がある。