ネムノキの9月の花

 ネムノキ(合歓木)はマメ科ネムノキ亜科の落葉高木。子供の頃、触ると葉が閉じると思い込んでいて、何度触っても、まるで効果がなく、がっかりし続けたのを今でもよく憶えています。触るとすぐに閉じるのは同じマメ科ネムノキ亜科のオジギソウ(お辞儀草、含羞草)で、ネムノキは夜になると小葉が閉じ、垂れ下がる就眠運動を行うというのが後で知ったことでした(画像はオジギソウ)。

 「ネムノキ」という名前は、夜になると葉が合わさり、眠るように見えることに由来し、漢字名の「合歓木」は中国でネムノキが夫婦円満の象徴とされていることに由来します。合歓木の正しい読み方は「ねむのき」、「ごうかんぼく」、「ねぶのき」です。合歓木を「ねむのき」、「ねぶのき」と読むのは熟字訓(じゅくじくん)という読み方で、漢字1字に読み方をあてるのではなく、熟字(2字以上の漢字の組み合わせ)に訓読みをあてた読み方のことです。訓読みは漢字の持つ意味を日本語に翻訳したところから生まれた読み方です。

 6月から7月にかけ、枝先に淡紅色の長いおしべをもつ花が20ほど集まって咲くのがネムノキで、マメ科ネムノキの花は独特の花弁を持つマメの花と随分と違い、花弁が発達せず、おしべが花を構成しています。オジギソウの花もネムノキの花によく似ていて、おしべとめしべが花になっています。ネムノキは7月後半に花が途絶えるのですが、初秋に再び咲き始めることがあるようです。

 このように見てくると、ネムノキは色んな点でとても個性的で、神秘的でさえあるように私には思えます。葉も、花も、そして名前さえも特異な存在を具体的に表しているように見えるのです。

オジギソウ