ケシ科のムラサキケマン(Corydalis incisa)は花の形が仏壇に飾る仏具である華鬘に似ていることから命名されました。可愛い見かけに反して全体に毒があります。ムラサキケマンは秋に芽生え、春に紫色の花を咲かせます(画像)。山裾や竹林の中などの、直射日光が少ない場所に生育します。
*華鬘(けまん)は仏堂で使用する荘厳具で、花鬘、花縵とも書く。「荘厳する」とは仏教用語で、仏堂や仏像を飾るという意味。また、「仏の座」は仏を安置する台座のこと。
華鬘はインドの花の髪飾りが由来で、仏様にも花の髪飾りを飾るようになり、それがいつしか仏具になり、華鬘を吊るすことで、生花を飾る必要がなくなりました。ところで、春の七草の「ほとけのざ」はシソ科のホトケノザではなく、キク科の「コオニタビラコ」という別の植物です。ところが、シソ科のホトケノザも花を包む葉の形が仏さまの台座に似ているので、いつの間にかこちらが「ホトケノザ」と呼ばれるようになりました。
春先に咲く草花で、ホトケノザと似ていて、間違えられてしまうのが「ヒメオドリコソウ」。どちらもシソ科です。在来種のオドリコソウより目につくのは、外来種のヒメオドリコソウです。道端で淡いピンク色の花が鮮やかに群生しています。
ホトケノザと同じ頃に咲き、仲間だと思われがちなのがムラサキケマンです。ムラサキケマンの花は、ラッパのような筒状の形をしています。ホトケノザの花と見比べると、違いがわかります。