ナツズイセンの花

 ナツズイセン(夏水仙)はヒガンバナ科の有毒の多年草で、リコリスとも呼ばれる。8月も中旬に入り、ナツズイセンの花が目立ち出した。春にスイセンに似た葉を伸ばすが、夏には枯れる。葉が枯れた後に、花茎を伸ばして、ラッパ状の花を数個つける(画像)。花は、淡紅紫色で花びらは反り返り、目立つ茎は太く、花は彼岸花に似ている。だが、彼岸花より先に咲く。「夏水仙」の名前は葉がスイセンに似ていて、花が夏咲くことから。また、花期に葉がなく、そのため「ハダカユリ(裸百合)」とも呼ばれる。ナツズイセンの原産地は中国で、古くに渡来した帰化植物と考えられている。

 花茎のみが伸び、頂上で複数の花を咲かせる性質はまさにヒガンバナの仲間だが、ラッパ形の花は小振りなユリのようでもある。花色はやや淡いピンク色で、そこに薄い青色が微かについていて、水彩画の題材にしたくなる。

*雄しべは6個、雌しべは1個で、雄しべは花被片と同程度の長さ、雌しべは花被片より長くなる。ハナムグリの姿も含め、確認してほしい。