マメの花たち

 カラスノエンドウカスマグサスズメノエンドウはどれもエンドウ属ではなく、ソラマメ属の野草(花のサイズがカラスとスズメの中間にある(カとスの間でカス間)ことからカスマグサ)。烏野豌豆(カラスとノエンドウ)の正式名称はヤハズノエンドウ(矢筈野豌豆)。

 花の大きさだけでなく、花の色も違います。スズメノエンドウは白(実際はごく淡い薄紫)ですが、カスマグサは花びらに薄い赤紫色のラインが何本かあり、それが遠目にはピンク色に見えるようです(画像)。次に異なる点は小葉の数です。スズメノエンドウは12〜16枚で1組ですが、カスマグサは8〜12枚です。また、スズメノエンドウの蔓の先端は数本に分岐しますが、カスマグサは1本のままです。

 カラスノエンドウの花のサイズは大きく、花は小葉の脇から直接生えていて、ツルは何本かに分岐しています。シロバナカラスノエンドウは花の色が白く、私が見た白花はどれも花のサイズが小さめでした。栽培種のソラマメやエンドウの花は野生種の花よりさらに大きいことは言うまでもありません。

*メンデルの「雑種植物の研究」(1865、『雑種植物の研究』岩波文庫)で使われたのがエンドウ。メンデルは「親から子へ形質がどのように受け継がれるか」という疑問に答えようとしました。形質は生物学的な性質のことですが、その形質を構成している要素が今では「遺伝子」と呼ばれています。メンデルは一万株を超える数のエンドウを栽培し、「メンデルの遺伝の法則」をみつけました。メンデルは典型的な植物オタクで、思想家でもあったダーウィンとは随分と違います。

ソラマメ

エンドウ

カラスノエンドウ

カスマグサ

スズメノエンドウ