ヤハズエンドウの花

 ヤハズエンドウはマメ科ソラマメ属の植物で、日本のいたるところで見ることができます。繁殖力が強く、あちこちに自生しています。画像のように茎には巻きひげがあるのがヤハズエンドウの特徴で、周囲の植物に絡みつくことがあります(画像)。別名の「カラスノエンドウ(烏野豌豆)」は中国名の「野豌豆」から出た言葉です 標準和名は「矢筈豌豆(ヤハズエンドウ)」で、小葉の形を矢筈(弓矢の弦を受ける部分)に見立てたもの。秋に発芽し、春になると60センチから120センチほどに生長し、花期は2月末から6月です。

 白花のヤハズエンドウは白花変種(はくかへんしゅ)で、本来は色のついた花を咲かせるはずなのに、花弁で色素が形成されず、白い花をつける個体です。いわば、花のアルビノ。カルコン(黄色)、フラボン(淡黄色)、アントシアン(赤や青)等の色素の発現に関わる遺伝子の異常によって起こり、花弁の細胞は一般に葉緑体が発達せず、透明に近いので、雪と同じで、光の乱反射で白く見えます。

 白花のヤハズエンドウは珍重され、好んで栽培されます。私がたまたま見た白花の個体は野生の個体で、その周りには普通のヤハズエンドウの花が咲いていました。目を凝らして見ると、花は純白ではなく、微かに赤紫の色が浮かび上がっています。

カラスノエンドウ(烏野豌豆)の標準和名はヤハズエンドウ(矢筈野豌豆)です。漢字を見ると「烏の豌豆」ではなく、「カラス野豌豆」です。同じように考えて、「ヤハズ野豌豆」、つまり「ヤハズノエンドウ」とはならないのでしょうか。