黒い実:イヌツゲ

 イヌツゲ(犬黄楊)はモチノキ科モチノキ属の常緑樹で、湾岸地域の公園に多く植えられている。見た目と名前がツゲによく似ているため、同じ仲間と思われがちだが、ツゲはツゲ科ツゲ属でまったく類縁関係がない。ツゲは成長が遅く、緻密でなめらかなツゲ材として櫛や印鑑の材料となるのに対し、成長の早いイヌツゲはツゲよりも材の質が劣るという意味で「犬(イヌ)」の名がついたようだ。

 イヌツゲは雄株と雌株に分かれる雌雄異株で、実がついた雌株と実のない雄株とが並ぶ姿は植物の性表現の一つになっている。葉はツゲが対生であるのに対し互生。イヌツゲの丸く、緑色の果実は割れずに黒く熟す(画像)。