クロサンドラはキツネノマゴ科ヘリトリオシベ属の常緑小低木。アフリカ、インド、マダガスカル、スリランカ原産。コエビソウやパキスタキスと同様に花のつく穂が苞に覆われています。コエビソウはベロペロネと呼ばれ、苞がライトグリーンになるもの(イエロー・クイーン、画像)もあります。
クロサンドラは麦穂のように見える緑色の苞を連ねた花穂のまわりに次々と橙の花を咲かせます。クロサンドラはオレンジの花と苞の違いが直ぐわかります。でも、コエビソウでは赤茶色で鱗状に重なっている苞が花のように見えます。花は細長い白色の唇状花です。微妙に折れ曲がった苞がまるで茹でたエビのようで、重なったようにみえる苞の先端から白い花を咲かせます。
植物の基本は葉(花弁、萼弁、雄しべ、雌しべ、子房、苞、巻きひげ、吸盤、刺など)、茎、根の三つですが、蕾を包んでいる葉が苞で、蕾を保護する働きをします。花は、花柄以外のすべては葉が変化したものです。花弁が退化してほとんどその役目を果たしていなくて、萼弁が花弁の役割を果たしているものがあります。キンポウゲ科に分類される植物たちで、クリスマスローズ、アネモネ、クレマチス、ラナンキュラス、ユキワリソウ、トリカブト、キンポウゲ、シラネアオイ、イチリンソウ、シュウメイギク等々です。アジサイの花も花びら状のものは萼弁です。
次は、花弁も萼弁もほとんどなくなっているか、小さくなっている花で、苞が花弁の役割を担っている植物です。ポインセチア、ブーゲンビレア、ミズバショウ、ハナミズキなどはどれも小さくなった花が苞に包まれて、花の受粉を助ける昆虫たちを引き寄せるために、苞が花弁の代わりをしています。
苞も花も一体となって動物たちに花だと見せるのがコエビソウの戦略だというのはわかりやすいのですが、クロサンドラの苞は花を目立たせるために脇役に徹しているように見えます。