フウセンカズラの実は富山の薬売りが年に二回ほど家にやって来て、薬を置いていく際、子供へのオマケの紙風船を連想させるのです。紙風船は明治25年頃から流行し、大正・昭和へと受け継がれていきました。風船の形は現在私たちがよく目にする丸型と角型の2種類があります。私はどちらの形の風船もオマケとしてもらった記憶があり、丸型の方が好きでした。そして、オマケの紙風船とホオズキの実は私の記憶の中でダブっていて、互いに他を支え、重なり合っているのです。
紙風船は戦後もたくさん生産され、子供たちに愛されてきましたが、時代の流れとともに衰退していき、現在ではあまり見かけなくなりました。でも、出雲崎には大正時代からの老舗紙風船メーカーがあり、2022年には新潟県の伝統工芸品に指定されました。初代の磯野彌一郎が東京に出稼ぎに行き、流行っていた紙風船を出雲崎の冬の内職にしたことから始まりました。