アニスヒソップの花たち

 アニスヒソップAgastache foeniculum)は藤紫色の花穂をもつ多年草で、夏のハーブガーデンに欠かせないものである。セリ科のアニスのタネに似た甘くすっとする香りがあり、ハーブティーになる。原産地のアメリカ先住民は、のどの薬などとして古くから内服してきた。ミントにも似たさわやかな甘い香りの生葉を焼き菓子に混ぜたり、萼から外した花をサラダやデザートに散らしたりできる魅力的なハーブである。

 花に蜜が多く、チョウやミツバチが集まる蜜源植物としても知られている。こぼれダネからよくふえ、適地では放置すると群生する。英名のアニスヒソップの由来となったヒソップは花穂の色や形がよく似ているため、よく混同される。

 アニスヒソップは「ノースアメリカンミント」、「シロバナカワミドリ」とも呼ばれる。近縁種のカワミドリは中国では薬用として栽培され、花期に地上部を刈り取って乾燥したものが利用され、アニスヒソップとの間に交雑種がある。