バラの花

 「薔薇」は「ばら、そうび」と読み、俳句では夏の季語です。一季咲きの薔薇は5月頃が最盛期であるためです。でも、今は年中バラの花を見ることができ、季語には向かないようです。

 

西東三鬼  薔薇に付け 還暦の鼻 うごめかす

山口誓子  薔薇熟れて 空は茜の 濃かりけり

高浜虚子  己れ棘 あること知りて 花さうび

 

 今なら「老いとバラ」には還暦は若すぎますし、白バラと夕焼けもいいものですし、トゲのある人とバラの棘は単なる言葉遊びですと、トゲのある皮肉を並べても、そんな人の都合とは無関係なのがバラの美しさです。