10月末になっても湾岸地域ではシジミチョウ類が活発に活動している。シジミチョウのオスとメスの違いは様々なことを示唆してくれる。ウラナミシジミのオスの翅は全体に青く、メスの翅は青い色がほとんどない。眼のような模様は眼状紋といい、またハネが細く伸びているところを尾状突起と呼ぶ。それらによって反対側にも頭があるように見えるため、敵は勘違いすることになる。この「偽の頭」は「種内擬態」の一つとして知られている。これは「進化」の結果である。
ウラナミシジミが静止している時、後翅を上下にすり合わせると、尾状突起が揺れ、頭が動いているように見える。捕食者のカマキリやクモなどがニセの頭部を襲うと、翅の一部だけが犠牲になることによって、ウラナミシジミは逃れることができる。この「自己擬態」は自分自身の体の一部を必要な部分に似せることによって、敵から逃れることができる。
こんなウラナミシジミの擬態を見ていると、長閑な秋の日差しの中の「花と蝶の平和な世界」の背後で騙し合いの生存闘争が行われていることに私たちは驚くしかない。
*最後の二枚の画像のウラナミシジミはメスの個体