バンクシアの蕾と花

 バンクシーではなくバンクシア(Banksia ericifolia)は、オーストラリア南東部のニューサウスウェールズ州の東部に分布するヤマモガシ(山茂樫)科バンクシア属の常緑低木で、英名はHeath-leaved banksia(ヒースバンクシア)。バンクシアはオージープランツと呼ばれるオーストラリア原産の植物の一つです。そのバンクシアが寒さの中で咲き出しています。バンクシアは葉が細く密集し、花序が30cmにもなることがあります。花付きもよく、高温多湿にも耐え、日本でも育てやすい品種です。

 バンクシアの花は、蕾ができてから開花までには数か月かかります。秋から冬に特徴的なオレンジからブラウンのタワシ型の花(最初の画像の右が蕾、左が花)を咲かせ、花の後にできる実は木質の袋果。松かさのようになり、種子は硬い殻の中にとどまります。バンクシアの実は山火事が起きると、その熱で実が弾けて種子が飛び出します。その結果、山火事で焼けた後の森で、再び生き続けることができるという訳です。バンクシアにとって山火事は自然災害ではなく、定期的に起こる自然現象なのです。山火事が多く発生する地域での植物の適応戦略は、山火事が自然の中で繰り返し起きることを利用したものなのです。残念ながら、湾岸地域ではこの適応戦略は成功しませんが…