トウジンビエ(パープルマジェスティ)

 トウジンビエ(パープルマジェスティ、唐人稗)は黒キビで、熱帯アフリカ原産。画像はイネ科チカラシバ属の一年生穀類「トウジンビエ」の園芸品種で、本来は多年草ですが、乾燥したアフリカ生まれなので、湿気のある日本では一年草として扱われます。カラフルな花が多い中で、本種は暗色で背が高く目立ち、紫色の葉は最初緑色です。紫葉の中央から出た赤茶色の稈(かん)の先端から伸びた花序に小穂をつけます。

 作物種のトウジンビエはコムギやトウモロコシの穀類が栽培できない乾燥地域で栽培されています。トウジンビエの作付けは全世界で26000平方キロに及び、雑穀栽培の50%を占めています。栽培が多いのはサハラ砂漠南縁のサヘル地域であり、ニジェールでは最も生産量の多い穀物となっています。

*多くの作物種には対応する雑草型があります(例えば、作物のイネと雑草のイネ)。近縁作物と雑草が一緒に生育し、遺伝的な交流をもっている状態は作物-雑草複合(crop-weed complex)と呼ばれます。穀類の場合、作物は熟しても穀粒が落ちないのに対し(非脱粒性),雑草は穀粒が熟すると自然に散らばり落ちます(脱粒性)。そのため、作物型と雑草型が混じって生えていても、比較的容易に区別できます。そして、サヘル地域のトウジンビエ畑では、作物・雑草複合がみられることが知られています。