エゴノキの実とアブラムシがつくった虫こぶ

 エゴノキの花が終わり、花と同じようにたくさんの実をつけている(画像)。そのエゴノキの枝先にバナナ状の虫コブがついている(画像)。これはアブラムシがつくった黄緑色の虫こぶで、猫の足に見立ててエゴノネコアシと呼ばれている。こぶをつくった虫はエゴノネコアシアブラムシ。虫こぶは昆虫が植物に産卵し、寄生することで植物の組織が異常に大きくなったり、変形したりしたもので、「虫えい」とも呼ばれます。

 春、卵から孵化したアブラムシの幼虫は全部メス。胎生単為生殖で、卵はメスの体内で孵化し、メスの幼虫を産みます。虫こぶの内部はクローンのアブラムシでいっぱいになります。7~8月、虫こぶの先端が開き翅のある成虫が出て、イネ科のアシボソに飛んでいき、そこで胎生単為生殖で無翅型の世代が繰り返されます。秋になると有翅虫が羽化し、エゴノキへ戻り、雌と雄の有性虫を産みます。そして、雌雄が結ばれ、産卵。卵で越冬します。季節によって寄生する植物を変えたり、単性生殖と有性生殖をしたり、生態は実に複雑です。