ナニワズ

 ナニワズはジンチョウゲジンチョウゲ属の落葉低木で、雌雄異株。エゾナニワズ(蝦夷難波津)、エゾナツボウズ(蝦夷夏坊主)が別名。ナニワズは福井や福島以北の本州、北海道に生育する。葉は長さ3~8㎝で、基部は楔形となってやや輪生状にかたまってつく。葉基部の側脈はほとんど分かれず、葉の縁に沿って中部にまで達する。秋に蕾をつけて、翌春に開花する。沈丁花によく似た黄色い花が咲く。花の香りがとても良く、早春の空気にマッチしている。
 ナニワズはオニシバリに対する長野の方言。どうして漢名が「難波津」なのか、不明である。「蝦夷難波津」となると、ますます不明。オニシバリは樹皮が丈夫で鬼をも縛り付けることができることに由来する。
Wikipediaによれば、牧野富太郎『新牧野日本植物圖鑑』で、「ナニワズ」はオニシバリの長野県の方言で、長野県人が北海道に生育するオニシバリに似た本種をナニワズと呼んだのが始まりとされる。一方、『植物和名の語源』の深津正は、オニシバリの別名であるナツボウズ(夏坊主)が転訛して「ナニワズ」となった説を挙げ、さらに難波津の歌「難波津に咲くや此の花冬ごもり 今は春べと咲くや此の花」を挙げ、「咲くや此の花」は早春に咲く梅の花と言われるが、北国の人々が雪残る早春に咲く本種に、春到来を表した「難波津」の歌を重ね合わせたと推測している。

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