ソシンロウバイ(素心蝋梅)の黄色い花

 「素心」は世俗にとらわれない純粋な心のことだが、まるで蝋細工のような花が今年も見事に咲いています。「ソシン(素心)」と「ロウバイ(蝋梅)」の二つが合成されたのがソシンロウバイ。花弁から花芯まで同じ色の花を中国では素心と呼ぶことに由来しています。蝋梅の由来は、蝋細工のような光沢と透明感のある花の姿がウメ(梅)の花に似ていることと、花弁の色が密臘に似た花によるようです(画像)。ソシンロウバイの半透明の作りもののような花はとても不思議な印象を与えます。

 ソシンロウバイは中国原産で、15世紀初頭に渡来したロウバイの園芸品種。ウメと同じ早春に花を咲かせることから「梅」がつきますが、バラ科のウメの一種ではなく、ロウバイ科の落葉低木。ロウバイの花は中心が暗赤色(濃い紫色)ですが、ソシンロウバイは中心も同じ透き通った黄色です。

*雪中四友(せっちゅうのしゆう)は、文人画に好んで描かれた早春に咲く梅、蝋梅(ろうばい)、水仙山茶花(さざんか)の四つの花をさす言葉で、何れも雪中、厳寒を冒して開き、香気馥郁たるもの。日本海側は大雪ですが、私は雪の中で咲くロウバイソシンロウバイを知りません。画像のような青空の中のソシンロウバイは見事ですが、雪の中の花も是非見てみたいものです。