ヤツデの花は花粉を運ぶ昆虫が少ない12月に花をつけます。この時期のハエやアブを独占するのがヤツデの戦略のようです。不思議なのはヤツデの花の変化。ヤツデは雌雄同株で、枝先に両性花を咲かせます。両性花は雄しべが発達した後に、雌しべが成熟しますが、このように雄しべと雌しべの時期をずらすことによって自家受粉を防いでいます。ヤツデは球状の散形花序が集まって大きな円錐花序をつくっています(画像)。ヤツデはこの開花のズレを巧みに利用しながら、昆虫たちを惹きつけています。
ヤツデの両性花の開花時期、そして、雄性期から雌性期への変化は花の集団が規則をもち、昆虫たちと相互作用を繰り広げながら、適応生活を営んでいることを示しています。
*ヤツデの花は1月に入ってもあちこちで見ることができ、ハエだけでなく、色んな虫が集まってきます。ヤツデの花弁は5個、卵形で長さ3〜4mm。雄しべは5個、葯は白色、花柱は5個。画像を見比べると、花びらも雄しべがある花(雄性期)と雌しべしかない花らしくない花(雌性期)とが区別できます(画像)。上の花序から順に咲き、同じ枝分かれ回数のものはほぼ同時に咲き、上の花序の雄性期、雌性期、次の花序の雄性期、雌性期と移っていきます。