マテバシイ(馬刀葉椎、全手葉椎)はブナ科マテバシイ属の日本固有の常緑広葉樹。和名は葉がマテガイに似たシイノキという意味。かつて薪や炭を作るために植栽されたものが野生化し、現在では房総半島から沖縄まで広い範囲に見られる。本来の自生地は九州南部で、別名は「薩摩椎(サツマジイ)」。マテバシイは街路樹にも使われるほど丈夫な木で、そのため湾岸地域でもあちこちに植えられ、緑の大きな葉で親しまれている。
マテバシイの開花は初夏(6月頃)。雌雄同株で1本の同じ木に雌雄それぞれの花を咲かせる。雄花は穂状でクリと同じような精臭があり、栗の木を思い出させてくれる。雌花は雄花に包まれるようにまばらに咲く。雌花は黄緑色かつ地味な形で、見分けるのは厄介である。花の元には前年の雌花がドングリになりつつあり、小さな塊がたくさん見られる。湾岸地域では今マテバシイの雄花が花盛りである。
ドングリは直径2~3センチで細長く、多少の渋味はあるがアクが少なく、味は栗に似る。生で食べることもできるが、普通は炒めたり焼いたりして食べる。ただし、スダジイほど美味しくはない。マテバシイの実は堅果で、2年かけて熟す。一つの花軸にたくさんの雌花をつけるので、堅果も穂状につくのが特徴。