運河の橋下に隣同士で自生しているのがノブドウとヤマブドウで、ヤマブドウ、そしてノブドウの順に実をつけている。実の数は圧倒的にヤマブドウが多いのだが、ノブドウの実も色がつき出し、なかなかの存在感をもっている。
ノブドウ(野葡萄)はノブドウ属の蔓性落葉低木。藪に多く見られ、イヌブドウ、カラスブドウとも呼ばれる。ヤマブドウに劣るとしてつけられた名前である。その実は熟すと白色、あるいは光沢のある青色や紫色などに色づくが、不味い。白い実が本来の実の色で、青色や紫色の実は虫が寄生している寄生果。実はブドウタマバエやブドウトガリバチの幼虫が寄生して、虫えいを作ることが多く、紫色や碧色になり、むしろ正常な果実は少ない。
ヤマブドウ(山葡萄)はブドウ属の蔓性落葉低木で、別名はエビカズラ。日本の野生ブドウの代表で、巻きひげを伸ばして、他の樹木にからみき、成長すると20mを超える蔓になる。雌雄異株で、たくさんの実をつけ、生食することができる。葉はノブドウに較べて大きく、五角形状で浅く裂ける。
*ヤマブドウの雄株は開花と同時に花弁が脱落し、雌しべが退化して、雄しべだけの雄花をつける。一方、雌株は両性花をつけるが、雄しべが雌しべよりも短く、雄機能が低下しているために自家受粉は困難。そのため、ヤマブドウが結実するには雌雄両株が必要。