ヤマグワの実

 明治時代、絹は貴重な輸出品で、絹を作り出す「蚕(かいこ)」のエサになる桑は貴重な存在だった。「桑」は「食葉(くは)」または「蚕葉(こは)」が語源と言われている。ヤマグワは北海道から九州まで日本全国の丘陵や山地に広く自生するクワ科の落葉樹。かつては中国産のマグワと共に養蚕のための重要な飼料として栽培されていた。ヤマグワは最も普通に見られるクワの一種で、日本以外でも中国や朝鮮半島に分布する。

 北陸から東北で多く栽培されたヤマグワ(山桑)、南西諸島、九州南部及び中国地方に分布する暖地性のシマグワ(島桑)、中国中南部原産で九州、四国及び中国地方で栽培されたロソウ、日本全国で栽培された中国産のマグワなどがある。だが、暖地性のシマグワに対して、ヤマグワ、マグワ、ロソウを含めてヤマグワと呼んでいる。