トキワイカリソウの花

 船の錨にそっくりなのがトキワイカリソウの花で、そこからイカリソウという名前がつきました。「トキワ」は、冬でも葉が落ちずに残っている常緑の植物を指しています。メギ科イカリソウ属のトキワイカリソウの分布は北陸、山陰の日本海側に多く、その花のほとんどは透明感のある白花です(画像)。

 近縁のイカリソウはやはり錨形ですが、淡紅紫色の花をつけ、太平洋側に分布します。ある程度の山地であれば普通に生えているが、お茶の材料となり、根元から刈り取り、陰干しにしたものを煎じて飲みます。全草は淫羊霍(いんようかく)という生薬で、精力剤として有名です。また、山菜として食用にもでき、若葉をおひたしにしたり、葉っぱを天ぷらにしたりできます。

 トキワイカリソウの花はなぜ錨形なのでしょうか。昆虫に効率よく花粉を運んでもらうため、というのがその答えです。トキワカリソウの花の蜜は奥の方にあります。マルハナバチなどの昆虫は蜜を食べるために、花の奥まで顔を突っ込まなくてはなりません。これがトキワイカリソウの狙いで、顔を突っ込んだ時に花粉がたっぷり体につきます。その花粉が他の花へ運ばれ、受粉が上手くいくという訳です。

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