ツバキの花

 サザンカやカンツバキが多い湾岸地域にはツバキもある。ツバキ(椿)はツバキ科ツバキ属の常緑樹で、光沢のある濃い緑の葉が特徴。厚みのある葉の意味で「あつば木」、光沢のある葉の「光沢木(つやき)」等、いずれも花より葉の美しさが名前の由来となる。和名のツバキは野生種のCamellia japonicaのことだが、園芸品種も単にツバキと呼ばれ、間違いを避けるため、ヤブツバキと呼ぶこともある。

 ツバキは、本州以南に自生する植物で暖地・沿岸部にヤブツバキ、積雪地帯にユキツバキが見られる。種子(椿油)や材は縄文時代から生活に利用され、花も古くから貴族に愛され、日本書記にツバキを天武天皇に献上した記録がある。室町時代以降、武士がツバキを好み、庭園、華道、茶道で使われるようになり、園芸化が進む。江戸時代には諸大名らに広がり「寛永のツバキ」の流行が起こる。また、シーボルトが冬のバラとしてヨーロッパに日本のツバキを紹介している。

 ツバキとサザンカはよく似ている。ツバキは花弁が萼と雌しべだけを木に残して丸ごと落ちるが、サザンカは花びらが個々に散る。だが、園芸品種は多様で、見分けにくい場合がある。ずいぶん昔だが、「神代植物公園」のツバキ、サザンカ園で様々なツバキを見た記憶がある。200品種以上のツバキがあった。

 雪国のユキツバキは雪に覆われて、地表に押しつけられて過ごし、春に雪解けが始まるとその姿を現す。すると、倒れていた枝は次第に立ち上がり、花をつける。

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