2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

クロッカスの花

クロッカスは秋植えの球根植物で、原産地はヨーロッパ南部や地中海沿岸から小アジアです。晩秋に咲き、花を薬用やスパイスとして用いるサフランに対し、クロッカスは早春に咲き、観賞用として栽培されるため、春サフラン、花サフランなどと呼ばれてきました…

A君の漠然とした疑問

A君は4月から高校生。ウクライナへのロシア軍の侵攻のニュースを聞きながら、両国が共にロシア正教会の国だと知りました。正教会のイコンはイエス・キリスト、聖人、天使、聖書の記載、教会史上の出来事を画いた画像です。A君は正教会の立像を見たことがあ…

カンヒザクラの花

カンヒザクラ(寒緋桜)はヒカンザクラ(緋寒桜)、タイワンヒザクラ(台湾緋桜)とも呼ばれ、紫にも近い濃紅色で、中輪の花が特徴的な品種です。花の咲き方は半開で、鐘状の下向きで、花びらは散らずに、萼(がく)の付いた大きな花ごと落下します。小輪の一重咲き…

ラナンキュラスの花たち

キンポウゲ科のラナンキュラスは幾重にも重なった、明るい花弁が魅力的な秋植え球根です。最近は花の色や形が改良され、香りのよい品種が数多くつくり出されています。そのラナンキュラスの花が道端の花壇に咲き出しています。なんとも見事な色と形で、暫し…

私の昔話と伝説

鬼女、天狗、山姥の伝説は信濃、越後のあちこちに残り、それらは『平家物語』、『愚管抄』などに見事に表現されていたものでした。能の舞台として戸隠や鬼無里が、神仏が集合した修験道の地として妙高、関山が歴史的に人々に記憶され、鬼や大蛇が人と存分に…

アセビの花

アセビ(馬酔木、梫木)は、ツツジ科アセビ属の常緑低木。日本に自生し、湾岸地域でも公園や庭に観賞用に植えられている。別名はあしび、あせぼ。開花時期は、 3月から4月中旬で、壷形の花をいっぱい咲かせる(画像)。花の色は、薄紅色、あるいは白色。 枝…

サンシュユの花

サンシュユ(山茱萸)はミズキ科の落葉小高木。枯れ木のような枝に先ず花が咲き出すのがサンシュユで、その花が春を告げるように咲き出した。サンシュユの漢字表記は山のグミを意味する「山茱萸」。ハルコガネバナ、アキサンゴ、ヤマグミとも呼ばれ、中国と…

鬼の魂:二歌二句

老いた鬼 魂さらし 雪をこき 彷徨い歩く ふるさとの山 魂の 鬼になり落ち 苦しみて 悔いて嘆いて 山焼ける 苦しみに わが身憐れみ 鬼を超え 浄土捨て 鬼に変わるや 我が心 「魂(たましい)」は、「云(雲のようなもの)+鬼=怨霊」です。死後に昇天する「…

キブシ(木五倍子)の花

キブシとは何とも奇妙な名前で、漢字を見ても解せず、好奇心が掻き立てられます。キブシはキブシ科キブシ属に属する雌雄異株の落葉低木で、別名キフジ、と言われてもまるで合点がいかないのです。和名は果実を染料の原料である五倍子(ふし)の代用として使…

鬼を知りたい人は馬場あき子『鬼の研究』 (三一書房、1971、ちくま文庫)を読もう

天狗、鬼、山姥について述べてきました。それらについての研究は膨大ですが、一冊だけ読んでほしい本があります。それが『鬼の研究』です。 歌人馬場あき子氏が形は鬼なれども、心は人なる鬼に惹かれて研究したのが本書で、中世日本では既に鬼の時代は過ぎ去…

コゴメイヌノフグリの花

地中海沿岸、南ヨーロッパに広く分布し、3月から4月に開花します。湾岸地域でもあちこちで咲いているのを見ることができます。白い小さな4弁花で茎葉は段々状になっています。オオイヌノフグリより花は小さく、老眼の私には見えにくく、つい見落としてしまう…

天狗、鬼、そして、山姥

能に「鞍馬天狗」、「黒塚」、「山姥」という曲がありますが、天狗、鬼、山姥のどれかが一緒に登場するものはありません。ですから、三者が互いに戦い、いずれが強いのかはよくわかりません。冥界の存在が互いにどのような関係をもつかは曖昧そのもので、顕…

ジャノメエリカの花

ジャノメエリカは南アフリカ原産のエリカです。エリカの品種は800以上存在すると言われています。南アフリカだけでなく、その他のアフリカ地域や地中海、ヨーロッパなどにも分布しています。エリカの仲間は暑さ、寒さに弱く、庭植えには不向きです。それでも…

ジンチョウゲの花

ジンチョウゲ(沈丁花)の原産地は中国南部で、日本でも室町時代にはすでに栽培されていたようだ。延徳二年(1490)に書かれた『尺素往来(せきそおうらい)』に、「沈丁華」と記されている。雌雄異株だが、日本にある木はほとんどが雄株。3月に入り、湾岸地…

天狗の鼻

「天狗は鼻が長いのか、それとも高いのか」という問いの前に、「ゾウは鼻が長い」の主語はゾウなのか、鼻なのかが、かつて話題になり、「一つの文中に二つの主語がある」という日本語文法の特異性が問題にされたのが思い出されます。今日の問いは文法ではな…

蕗の花

フキ(蕗、苳、款冬、菜蕗)は、キク科フキ属の多年草で、早春の花茎がフキノトウ(蕗の薹)で、子供の頃は雪解けの目印のようなものでした。山野に生える春の山菜で、当然その味は私には受け入れがたく、大人が好むのを理解できませんでした。 フキとフキノ…

春空を めがけて梅花 咲き占める

辰巳の森緑道公園は桜並木で有名なのだが、三つ目通りの反対側には小さな梅林があり、そこの梅の花が桜に先んじて咲き出している。「梅」は品種が多く、中国からの渡来種のほか、日本では江戸時代にたくさんの品種の育成・改良が行われ、現在では300種以上あ…

天狗と無限

平安末期には憑依する怨霊が天狗だという考えが広がりました。私たちには「牛若丸と天狗」や大佛次郎の『鞍馬天狗』で親しみのある天狗ですが、天狗の一例が仏道を妨げる天魔でした。『源平盛衰記』の後白河法皇と住吉大神との天狗問答に「天魔という鬼を天…

春の草クイズ

新潟の妙高では春の草はまだ大雪の下ですが、湾岸地域はあちこちに春の草が花をつけ出しています。よく見る花の画像を挙げてみますので、名前を当ててみて下さい。 *ヒント:画像は次の名前のどれかです。キュウリグサ、ワスレナグサ、オオイヌノフグリ、ネ…

キュウリグサとワスレナグサ

3月に入ると、世の喧騒とは無関係に野原に春の花が咲き出します。そんな野草の一つがキュウリグサ。キュウリグサの花はとても小さく、よくよく見ないと見過ごしてしまうのですが、目を近づけてみると、ワスレナグサによく似た花をつけています。 キュウリグ…

シロタエギクの葉

シロタエギク(白妙菊)はキク科キオン属の耐寒性多年草です。ですから、冬の間でも草全体に銀白色の綿毛が生えています。シルバーリーフの美しい観葉植物です。葉茎には綿毛が密生しているため、葉色は青味を帯びた白銀色に見えます。葉の長さは10㎝程度で…

桜咲く

カワヅザクラ(河津桜)は日本固有種のオオシマザクラ とカンヒザクラの自然交雑から生まれた日本原産の栽培品種です。既に河津町での開花はニュースで報じられていましたが、湾岸地域でも2月末に咲き出しました。河津川沿いに約850本、4キロにわたる桜並木…

パラダイムシフトと冥顕論

「科学革命」はイギリスの歴史学者バターフィールドが1949年に使った用語で、コペルニクス、ケプラー、ガリレオ、そしてニュートンらによる物理学の大変革を指します。これを拡張したのがトマス・クーンで、彼は科学上の「パラダイムシフト」という意味で「…

湾岸風景

妙高の雪の風景と比べるならば、その違いに驚く人が多いだろう。あるいは、妙高と晴海や豊洲の風景を対比してみると、その違いにまずは驚くに違いない。江戸の昔なら、深川あたりで、 橋の下 船が生み出す 春の波 とのんびりと詠むのも粋なのかも知れないが…

人の想像力の本性:キメラ

怪物の姿は洋の東西を問わずよく似ています。このことは、人間の想像力は似たり寄ったりで、それもあまり優れたものではないということを示しているように思えてならないのです。結局のところ、ギリシャ神話のキメラも『平家物語』や能、歌舞伎に登場する鵺…