鬼の魂:二歌二句

老いた鬼 魂さらし 雪をこき 彷徨い歩く ふるさとの山

魂の 鬼になり落ち 苦しみて 悔いて嘆いて 山焼ける

苦しみに わが身憐れみ 鬼を超え

浄土捨て 鬼に変わるや 我が心 

 

 「魂(たましい)」は、「云(雲のようなもの)+鬼=怨霊」です。死後に昇天する「たましい」が「魂」、しばらくの間地上に留まる『たましい』が『魄(たましい、ハク、骨を表す白+鬼)』です。人は死んだら鬼になると考えられていましたが、人は生きたまま鬼になり、人を苦しめ、殺すのです。そして、人は時には鬼より怖いのです。