アセビの花

 アセビ(馬酔木、梫木)は、ツツジアセビ属の常緑低木。日本に自生し、湾岸地域でも公園や庭に観賞用に植えられている。別名はあしび、あせぼ。開花時期は、 3月から4月中旬で、壷形の花をいっぱい咲かせる(画像)。花の色は、薄紅色、あるいは白色。

 枝葉に「アセボチン」という有毒成分が含まれていて、馬が食べると、酔って足が萎えることから「足癈(あしじひ)」と呼ばれ、それが変化し、「アセビ」となった。漢字の「馬酔木」もその由来による。

 『馬酔木(あしび)』は、1903年明治36年)に正岡子規の「写生」の歌を発展させるために創刊され、1908年(明治41年)に終刊した、根岸短歌会の短歌雑誌である。伊藤左千夫長塚節、岡麓らが編集した。

 さらに、水原秋桜子が主宰した俳句雑誌『馬酔木(あしび)』が思い出される。1931年、彼はそこで「『自然の真』と『文芸上の真』」を発表し、それまで自分が所属していた句誌『ホトトギス』が些末な俳句を生み出しているとし、自然という「素材」を精錬し、「文芸上の真」を生み出す俳句が必要だと主張し、俳句における「感情の主体性」を重視した。『馬酔木』は俳壇を代表する雑誌として、現在も刊行されている。水原秋桜子の馬酔木の句を挙げておこう。

 来しかたや 馬酔木咲く野の 日のひかり

(振り返ってみれば、馬酔木の花が咲く春の野原に日が降り注いでいる。)

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