ジンチョウゲの花

 ジンチョウゲ沈丁花)の原産地は中国南部で、日本でも室町時代にはすでに栽培されていたようだ。延徳二年(1490)に書かれた『尺素往来(せきそおうらい)』に、「沈丁華」と記されている。雌雄異株だが、日本にある木はほとんどが雄株。3月に入り、湾岸地域でも咲き始めている。

 花芽は前年の秋にはできているが、実際に咲き出すまでに寒い中、3ヶ月以上を花芽のまま過ごす。外側はピンクで内側は白い。外側も内側も白い種類はシロバナジンチョウゲと呼ばれる(画像は両方のジンチョウゲ)。

 香りは「沈香(じんこう)」に似ていて、葉の形が「丁子」に似ているところから、「沈丁花」になった。その香りは遠くにいても匂ってくる。名前の示すとおり沈香と丁字の香を併せもち、その鮮やかな匂いで 春の到来を告げる。

 沈丁の 匂い遠くに 春の風

 沈丁花 丁子沈香 匂い合う

*沈丁や死相あらはれ死相きえ(川端茅舎『華厳』)

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