異形の袋果

 ハクモクレンに似た花をつけるモクレン科のミケリア・マウディアエの別名は「深山含笑(ミヤマガンショウ)」。中国原産の常緑樹で、実の硬そうな殻が開くと、中には赤い種子が見える。それは同じモクレン科のコブシの実と種子に実によく似ている。

 どちらも白い魅力的な花をつけるのだが、どちらの実も人を驚かすような異様さをもっている。袋が破れて、赤い実がのぞき、虫の塊のようでもあり、目玉のようでもあり、それは気味の悪い、得体の知れないものといったところ。受粉した雌蕊のところだけ種が出来て、子房が膨らむ。受粉出来なかったところは、そのままなので、その結果、いびつにゴツゴツした形状になる。

 このでこぼこした形が、子どもの握りこぶしに似ているというのが「コブシ」の名前の由来。ミケリアもコブシも袋果の中に入った実は、緑色から黄色、やがて赤みを帯びてきて、袋果が割れて赤い実が覗く(画像)。

ミケリア・マウディアエ

ミケリア・マウディアエ

ミケリア・マウディアエ

コブシ

コブシ

コブシ