失われない野生:カサバルピナスの実

 最近は可愛いルピナスがあちこちで見られますが、カサバルピナス(傘葉ルピナスLupinus pilosus)は文化的、歴史的、植物学的に興味深い植物です。緑の肥料として注目され、花には蜜は含まれていませんが、葉からたんぱく質や脂肪をたっぷりと摂取するために、あらゆる種類の昆虫、特にミツバチを引き付けます。

 カサバルピナス南ヨーロッパ原産のマメ科一年草。葉が傘を広げたような形をしていることから、「傘葉ルピナス」と呼ばれるようになりました。茎は直立して花は下から咲き上がり、穂状になります。開花は4月下旬~6月頃で、青紫色の花に白が混じります(画像)。花の後に鞘ができます。そして、大きな種(=豆)も毛が生え、マメ科の植物であることが実によくわかります(画像)。

 カサバルピナスの花と大きな鞘や種を見比べると、私たちの印象の大きな落差を感じるのではないでしょうか。園芸種でも野生が保存されているのがはっきり見え、それが妙に私たちの植物への好奇心をそそるのです。