新春の梅の花

 ウメは中国江南地方を原産とし、お花見の対象としてサクラより長い歴史を持つ。奈良時代以前はウメが「花」の代表。長く親しまれてきた果樹で、梅干しや梅酒として広く使われている。2日にその花が数輪開いているのを見ることができた(画像)。

 ウメは園芸品種が多く、花を観賞する「花ウメ」と、収穫用の「実ウメ」に大別される。花の色には白、赤、ピンクとそれらの混合があり、香りの高い白花に最も高い価値が与えられてきた(画像)。

 ウメは中国原産。『万葉集』では白梅が、平安時代には紅梅がもてはやされた。菅原道真が住んでいた天神御所は別名「白梅御殿」、別邸は「紅梅御殿」と呼ばれ、邸内には多くの梅が植えられていた。彼が詠んだ有名な歌は九州の大宰府へ左遷が決定し、「紅梅御殿」から出発しようとした時に、庭の白梅を見て詠まれたもの(*)。この梅は道真を追って九州の大宰府まで飛んで行き、飛梅と呼ばれている。

 美しい桜に対し、怨霊や怨念が似合うのが梅で、古き日本の姿を語るには不可欠の樹木である。

*東風(こち)吹かば 匂いおこせよ 梅の花 主なしとて 春をわするな