カラタネオガタマの花

 オガタマノキ(招霊木)の「オガタマ」は「招霊(オキタマ)」が転訛したもので、かつては神の「依代(よりしろ、神霊が寄り憑く樹木、岩など)」として寺社を中心に植栽されていました。残念ながら私が住む湾岸地域には寺社がなく、オガタマノキは見つかりません。オガタマノキによく似た木が同じモクレン属で中国原産のカラタネオガタマです。カラタネオガタマ(唐種招霊)の別名はトウオガタマ(唐招霊)。カラタネオガタマは江戸時代に渡来しました(渡来ものでも依代にできるのか知りたくなります)。

 オガタマノキの花は強い香りがないのに対し、カラタネオガタマの花にはバナナのような甘い強い芳香があり、別名は「バナナノキ」、英語ではバナナブッシュです。既に記した深山含笑(ミヤマガンショウ、Michelia maudiae)も中国原産で、春に半八重のタイサンボクに似た、香りのある、大きな白い花を咲かせます(画像)。そのミヤマガンショウはカラタネオガタマの仲間で、中国名は「含笑」、「含笑花」。花びらが全開しない含み笑いのような花の形からきているようです。

*「深山含笑」は広義の湯桶読み

ミヤマガンショウ