春のツタバウンラン

 今年もまたいつもの場所にツタバウンラン(蔦葉海蘭)の花が咲いている。ツタバウンランはつる性の多年草で、地中海原産。観賞用に大正年間に入り、ロックガーデン等に植えられましたが、それが野生化したのです。オオバコ科のツタバウンランの「ウンラン」は、開花した花の姿がウンラン(海蘭)に、葉っぱの様子がツタ(蔦)に似ていたので、その二つを合わせて「ツタバウンラン」と呼ばれるようになりました。別名は「海蘭葛(うんらんかずら)」、「蔦唐草(つたからくさ)」。

 ツタバウンランは青紫色(紅紫色)の小さい、かわいい花をつけます(画像)。いつも気になるのは、ツタバウンラン、カキドオシ、ムラサキサギゴケ、トキワハゼの花は互いによく似ていて、昨年それらの識別に随分と苦労したことです。

 私に細密画を描く趣味でもあれば、これら4種の植物を適確に描き分けることに執念を燃やす筈ですが…今の図鑑の画像はほとんど写真ですが、かつての図鑑は細密なスケッチが中心でした。自然史と図鑑、つまり、収集と分類のスケッチ記録はかつての自然研究の方法だったのです。