土だけが目立つ花壇の端にキンギョソウを小さくしたような花が咲いている。その似た花姿から、ヒメキンギョソウと呼ばれている(画像)。だが、キンギョソウがゴマノハグサ科キンギョソウ属なのに対し、ヒメキンギョソウはゴマノハグサ科リナリア属。リナリア属の園芸種の和名はリナリアとも呼ばれていて、ヒメキンギョソウも流通名はリナリア。気になって調べてみると、リナリア属は次の三つからなっている。ムラサキウンラン(全体に無毛、花冠は濃青色、紫色、又は淡モーブ色)、ヒメキンギョソウ(花序は花が密、腺毛。花冠は赤紫色)、リナリア・レティクラタ(花序は花が密につき、花冠は赤紫色)。
ヒメキンギョソウの花を見て、私が思い出す野の花はマツバウンラン(松葉海蘭)とツタバウンラン(蔦葉海蘭)。どの花も唇形花。マツバウンランはゴマノハグサ科の一年草または二年草。湾岸地域には意外に多く、冬から春にかけて薄紫の花をつける(画像)。
ウンランの名を持つ、もう一つの野の花は同じ早春に石垣やコンクリートの隙間に生えるツタバウンラン。葉が蔦に似て、花がウンラン(海蘭)に似ているので、ツタバウンランの名がある地中海原産のゴマノハグサ科の花で、大正年間に観賞用として持ち込まれ、野生化している。