アメリカオニアザミの棘

 キク科アザミ属のアメリオニアザミは厄介者の外来種で、「アメリカ」とあっても、原産はヨーロッパ。1960年代にアメリカから輸入された穀物に混じって日本に渡来したため、この名がついた。セイヨウオニアザミの別名もある。花は紅紫色で大きくて目立つ。一輪の花に見えるが、ちいさな筒状の花がたくさん集まって、ひとつの花を形作っている。花の下部分(総苞)は鋭く尖った総苞片で覆われている。総苞はアメリオニアザミが最もいかつく見える部分の一つ。その棘のためにアメリオニアザミは動物が食べず、人も簡単には手を出しにくい植物。

 夏は総苞の棘が目立つが、冬は葉の棘が主役。画像の根出葉は羽状に深裂しロゼット状となり、その葉にも立派な棘がある。また、葉の縁だけでなく、表面にも1mmほどの刺が密に生えている。そのため、アメリオニアザミは史上最悪の雑草と言われている。

 ところで、棘のあるのは植物だけではない。棘皮動物はその名前の通り、体表に棘(とげ)を持つ生き物で、代表はウニやヒトデ。それにしても、アメリオニアザミの棘は強烈。木綿針のような鋭い棘で何でも突き通し、刺されると腫れ上がる。棘だらけだが、毒がないのがせめてもの救い。アメリオニアザミは鹿も食べず、その棘を武器に日本を侵食しているようである。アザミの棘のおかげでバイキングの侵攻を防ぐことができたスコットランドでは、アザミは国花である。

 敵から身を守るのが棘の役割の第一だが、第二の役割は暑さをしのぐため。そして、第三の役割は、より高いところに生長していくための足がかり。

 

大寒に アザミの棘の 痛みかな

凍る手に アザミの棘が 突き刺さる