ヤマボウシの花

 湾岸地域にはヤマボウシよりハナミズキが多い。共にミズキ科ヤマボウシ属の落葉高木で、よく似た花をつけるが、花期はハナミズキの方が1か月ほど早い。そのため、今はヤマボウシの花が咲き出している。ヤマボウシは日本原産で、「山法師」という名はその特徴のある花を「山伏」の頭巾に見立てたもの。一方、「ハナミズキ」は北アメリカ原産で、1912年にアメリカに贈ったソメイヨシノの返礼として日本に贈られた。

 ヤマボウシハナミズキは似た花をつける。4枚の大きな花びらのように見えるのは総苞片で、その中心に本来の「花」が集まっている。ハナミズキの花はまだ新葉が出る前から咲き始める。ヤマボウシハナミズキよりも遅く、葉が出た後に上向きに花がつく(画像)。

 ヤマボウシの葉は、4~12cmほどの楕円形、または卵円形。全縁でやや波打った形をしていて、葉脈が美しい。個々の小花には雌しべ(花柱)が1本、雄しべが4本、「花被片」と呼ばれる小さな花弁のようなものが4枚ずつある。

*中心に多数の花が集まる頭状の花を比叡山延暦寺の山法師(僧兵)の坊主頭に、花びらに見える白い総苞片を白い頭巾に見立てたものと言われている。白の五條袈裟で頭を包んだのが裹頭(かとう)。私にはヤマボウシが山法師の頭巾姿なのか、坊主頭と白の袈裟のことなのかわからない。

**夏来たり 山々に 法師見ゆ