「栴檀は双葉より芳し(せんだんはふたばよりかんばし)」は、「大成する人は小さいときから優れている」という諺。この「栴檀」は中国では「白檀(ビャクダン)」のことで、良い香りを放つ木として有名です。
有楽町線の豊洲駅から豊洲新市場に向かって歩いていくと、街路樹としてセンダン(栴檀)が植えられています。その別名はオウチ(楝)、アミノキなどで、ビャクダンではありません。センダンの樹高は15mにもなり、成長が早く、太い幹の樹皮は縦に裂け、凹凸ができます。センダンの別名楝は色の名前にもなっています。淡く、やや青みがかった紫色です。藤色よりは濃く、深みを加えたような、青みの爽やかな紫色です。センダンはビャクダンのように芳しくなくても、センダンの花の香りは甘く、高貴な香りです。センダンの花の香りはバニラやチョコレートの香りに似ていますが、木にはビャクダンのような香りはありません。
秋に楕円形の実が枝一面につき、落葉後も木に残る姿が数珠のようで、「センダマ」(千珠)の意味で命名されたという説もあります。センダンの実は落葉後も枝に残り、ヒヨドリ、ムクドリ、ミヤマガラスなどの野鳥が食べますが、人が食べると嘔吐、腹痛、胃炎、呼吸停止を引き起こすようです。漢方ではセンダンの果実を「苦練子」と呼び、整腸、鎮痛に使います。
1月に入ってもセンダンの実が枝に残り、それが冬の碧空の中で輝いて見えます。