ヤセウツボの花

 ハマウツボ属のヤセウツボ(痩靫)は他の植物に寄生する植物で、日本では1937年に千葉県の習志野で初めて発見されました。4月から5月頃に突然に現れ、みるみるうちに茎がのびて草丈は15㎝ほどになります。花は淡い黄色を基調にし、脈に沿って薄い紫色のラインが入ります。花びらは脱落せずにそのまま残り、果実を包みます。果実の中には微細なタネがびっしりと入っています。

 ヤセウツボは主にマメ科植物に寄生し、シロツメクサアカツメクサがおもな宿主です。普通の植物は体内の葉緑体光合成を行い、必要な養分を自ら作り出しています。植物が緑色なのは葉緑素という緑色の色素のためです。ところがヤセウツボには葉がなく、体も茶色です。また、ヤセウツボは植物でありながら、自分では養分をつくれず、周辺の植物の根に自分の根を食い込ませて、その養分を横取りして育つ寄生植物です。

 ツメクサ類が多い湾岸地域ではあちこちでヤセウツボを見ることができます。