ハコネウツギとニオイバンマツリの花色変化(へんげ)

 ハコネウツギの花は咲き始めが白色で、次第に桃色へ、そして終には赤色に変わります(画像)。ところが、ニオイバンマツリの色変化は紫から白色へ変わり、開花盛期には多色咲きのようになります。花は咲き始め濃い紫色で、次に薄い紫色、2日ほどで白色になります(画像)。どちらも、1本の木に色んな色の花が咲いているように見えます。

 そこで、一つの花の色が変化する植物を探すと結構見つかります。例えば、13日に紹介したスイカズラの花色は白から黄色になり、金銀花の呼び名があります。また。10日のトベラの花色も白から黄色に変わります。

 スイフヨウ(酔芙蓉)は白花で開花し、時間の経過とともに赤くなり、夕方しぼむ頃には紅色になり、この色の変化が酒に酔って、顔が赤らむ様子に似ていることから、酔芙蓉と名付けられました。バラのチャールストンの咲き始めは黄色で、徐々にオレンジ色から赤色へと赤みが増し、終期には濃い赤色に変化します。ランタナ(和名は「七変化」)の花は黄色からオレンジ色に、そして赤色へ変わります。

 アジサイの色変化は有名で、そこから花言葉に「浮気」や「無常」があります。花の色とその変化についての説明は様々で、総合的な説明はまだ十分とは言えないようです。スイフヨウの花の変化は、アントシアニンの生合成が午後以降急速に進むためです。チャールストンの黄色は、多分フラボノイド系色素の濃度が高いためか、オーロン系色素またはカロテノイド系色素によります。これも、花が開くにつれ、アントシアニンが生合成されて赤色になっていくものと思います(色変化の化学過程の説明)。また、虫媒花のランタナは、色が黄色から赤へと変化する花では受粉前の黄色い花がより好まれ、受粉していない花に虫を誘っていると考えられます(色変化の進化過程の説明)。

 個々の生物種に応じてその色変化の化学的な説明と適応的な説明が求められていることがわかります。

ハコネウツギ

ハコネウツギ

ハコネウツギ

ニオイバンマツリ

ニオイバンマツリ

ニオイバンマツリ