トキワハゼ(常盤黄櫨)とツタバウンラン(蔦葉海蘭)の花

 この二つについては既に何度か述べてきたのですが、いずれも人がその花を楽しむには小さ過ぎて、人間用のサイズでないことが実感できます。野生の花のサイズは人間向きでないことがよくわかります。もう一つ気になるのは、二つがよく似ているように見えながら、目を凝らしてよく見つめると決して似ていないという矛盾したような特徴を持っている点です。よく観察すると、その図柄は随分と違っているのです。トキワハゼとツタバウンランは「見る」と「知る」の差を示す一例になっているようです。

 トキワハゼは実がはぜることからこの名前がつきました。葉には浅い鋸歯があり、根もとに集まっています。花の上唇は紫色~淡紫色、先端が白っぽく、小さく2裂します。下唇は白色~淡紫色、黄色と赤褐色の斑紋があります。花柄や萼に腺毛が多く、萼片の内側や花冠にも腺毛があります。トキワハゼは日本各地、朝鮮・中国・東南アジア・インドなどに分布する一年草です。花は春から秋まで咲き続け、それが「ときわ」の名前の由来となっています。画像のトキワハゼは近くの工場の植え込みの隙間に生育していて、狭い隙間で人の世の喧騒とは無縁の生活を送っています。

 オオバコ科のツタバウンラン(蔦葉海蘭)の「ウンラン」は、開花した花の姿がウンラン(海蘭)に、葉っぱの様子がツタ(蔦)に似ていたため、その二つを合わせて「ツタバウンラン」と呼ばれるようになりました。別名は「海蘭葛(うんらんかずら)」、「蔦唐草(つたからくさ)」。ツタバウンランはヨーロッパ原産の帰化植物で、日本に渡来したのは1912年(大正元年)です。つる性のツタバウンランの花の時期は4月~6月あたりで、湾岸地域でも既に咲いていて、青紫色(紅紫色)の小さい、かわいい花をつけています。

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トキワハゼ

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ツタバウンラン

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トキワハゼ

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ツタバウンラン