ツタバウンランの仲間たち

 昨日真冬に咲くツタバウンランの花を記したが、昨年からツタバウンランの仲間たちを数多く紹介してきた。そこで、その仲間たちをまとめて紹介しておこう。

 ウンランモドキ(ネメシア)とも呼ばれるシュッコンネメシアはゴマノハグサ科で、中国名は龍面花。アフリカウンラン属はほとんど南アフリカに分布し、世界には約60種が棲息。耐寒性に優れて冬越しが出来るようになり、花は小型だが、早春から初夏、真夏は少し休み、秋から晩秋まで咲く。シュッコンネメシアの花のもつ懐かしい印象は「ウンラン」という名前にあった。当然ながら、名前が似ているだけでなく、花もよく似ている。

 「げに懐かしきは名前なり」という訳なのだが、リナリアヒメキンギョソウ)はゴマノハグサ科リナリア属。リナリア属の園芸種の和名はヒメキンギョソウ。ウンラン(海蘭)の仲間を探すと、まずはマツバウンラン(松葉海蘭)で、その名の由来はウンランの仲間で松葉のように葉や全体が細いことから。湾岸地域では公園などで野の草としてよく見かける。このマツバウンランとよく似た園芸種がムラサキウンランで、こちらは花壇の常連としてリナリアと呼ばれている(要するに、ムラサキウンラン(紫海蘭)=リナリアヒメキンギョソウ(姫金魚草))。ウンランの名をもつ野の花はマツバウンランの他にもあって、それが昨日のツタバウンラン。葉がツタ(蔦)に、花がウンランに似ている。ツタバウンランゴマノハグサ科ウンラン属の花で、大正年間に観賞用として持ち込まれた。こちらも湾岸地域では珍しくない。

 キンギョソウゴマノハグサ科キンギョソウ属なのに対し、ヒメキンギョソウゴマノハグサ科リナリア属。リナリア属の園芸種の和名は「リナリア(Linaria)」とも呼ばれていて、ヒメキンギョソウも流通名は「リナリア」。

 ムラサキサギゴケ(紫鷺苔、Mazus miquelii)はハエドクソウ科の多年草。別名がサギゴケ(鷺苔)。白花の場合に限ってサギゴケと呼ぶこともあり、花が紫色で、形がサギ(鷺)に似ていることから、命名された。ムラサキサギゴケの同属植物がトキワハゼ。トキワハゼもムラサキサギゴケも薄紫色の花がとても美しく、比べて観察したくなる。どちらも小ぶりで、地面をよく見ないと見落としてしまう。

*百花繚乱、百名乱立というところだが、画像を見比べ、違いを確認してほしい。

シュッコンネメシア

リナリア

マツバウンラン

キンギョソウ

ムラサキゴケ

トキワハゼ

ツタバウンラン