初夏のツタバウンラン

 オオバコ科のツタバウンラン(蔦葉海蘭)の「ウンラン」は、花の姿がウンラン(海蘭)に、葉の様子が「ツタバ(蔦葉)」に似ていたため。別名は「海蘭葛(うんらんかずら)」、「蔦唐草(つたからくさ)」。2月には既に花をつけていたが、初夏の今でもまだ花が咲き続けている。

 地味なツタバウンランは日本の固有種に思えるが、実はヨーロッパ原産の帰化植物。日本に渡来したのは1912年(大正元年)。今ではすっかり野生化し、日本の風土に馴染んでいる。ツタバウンランによく似ている花に、「トキワハゼ」や「ムラサキサギゴケ」があるが、いずれも小さな世界で自らのペースで確かに生きている。