「ひまわり(I Girasoli)」雑感

 ウクライナ国旗の由来には二説ある。一説では、青色が空、金色はステップ(草原)に豊かに実る小麦で、他説では、青色が水、金色は火。あるいは、黄色はヒマワリという説もある。青い空とヒマワリとなれば、1970年の「ひまわり(I Girasoli)」(1970年、イタリア、監督:ヴィットリオ・デ・シーカ、音楽 :ヘンリー・マンシーニ)が浮かんでくるが、この映画の上演が日本中で相次いでいるようで、高田の世界館でも3月末に上映されると聞いた。私が学生の頃に見た衝撃の映画となれば、「2001年宇宙の旅」(1969年)とこの「ひまわり」。「世界」という言葉の意味を思い知らされた二本だった。私はモスクワに数日しかいたことがないが、当時はまだソ連時代で、ウクライナは行ったことがない。

 さて、「ひまわり」の音楽はとても印象的で、大好きなのだが、いつからかブラームス交響曲第3番の第3楽章(「さよならをもう一度」の主題歌)、第4楽章に置き換えて楽しんでもきた(マンシーニには失礼なことだが)。映画のあらすじは、結婚して幸せな日々を送るジョバンナとアントニオだったが、アントニオはソ連(ロシア)の最前線に送られてしまう。終戦後、帰らない夫を探しにソ連を訪れたジョバンナは、命を救ってくれたロシア人女性マーシャとの間に家庭を築いていたアントニオと再会する。マーシャの透き通るガラスのような瞳がジョバンナの黒い瞳と対照的で、二人の妻の強い愛情と献身が、ナチスに協力したイタリア軍の兵士マストロヤンニの哀しい、優柔不断な姿を引き立たせ、戦争が惨さしか生まないことを訴えている。