小春日の中のチョウ二種

 タテハチョウ科のキタテハ(黄立羽Polygonia c-aureum)は、和名どおり翅の表が黄色のタテハチョウ。初夏から真夏にかけて現れる夏型(地色が黄色っぽい)と、秋に現れてそのまま越冬する秋型(地色がオレンジっぽい)がある。秋型の成虫は黄色の部分が鮮やかな山吹色で、褐色の縁取りが薄く、黒い斑点も小さい(画像)。だが、翅の裏は前後とも赤褐色で、枯葉にまぎれる保護色(画像)。

 同じタテハチョウ科のツマグロヒョウモン(褄黒豹紋、Argyreus hyperbius)は雌の前翅先端部が黒色で、斜めの白帯を持つのが特徴(画像)。「ツマ黒」は翅の端が黒いことだが、これはメスだけの特徴(画像はメスのツマグロヒョウモン)。この特徴は毒をもつ同じタテハチョウ科のカバマダラに似せたと言われているが、オスは全身がヒョウ柄で、擬態に失敗したのかも知れない。

 そんな能書きなど忘れ、小春日和の中のキタテハとツマグロヒョウモンは花と戯れるかのように動き回っている。何とも長閑な風景なのだが、その長閑さが長続きする保証など実はどこにもないのだ。

キタテハ

キタテハ

キタテハ

ツマグロヒョウモン

ツマグロヒョウモン