アオスジアゲハはアゲハチョウ科のチョウで、湾岸地域でよく見られるチョウである。アオスジアゲハは黒地に青白い筋が一本入り、飛翔能力に優れ、速いスピードで、樹木や花のまわりを巧みに飛び回る。その雄姿が私は好きである。
黒地に鮮やかなブルーの紋様が翅を走り、付け根付近と後翅の下の方に赤が入るアオスジアゲハ。今夏もそのアオスジアゲハが元気に飛び廻っていた。幼虫はクスノキの葉を食べるので、クスノキの多い湾岸地域ではアオスジアゲハが多い。
アオスジアゲハは南方系で、成虫の出現期は長く、年3~4回、5月から10月までに発生する。「蝶は昼間飛び、蛾は夜飛ぶ。蛾は翅を広げてとまり、蝶は翅を閉じてとまる。」と言われるが、最後の画像のアオスジアゲハは翅を広げている。太陽に当たって体温を上げようとするときは翅を広げてとまる。
湾岸地域に多いクスノキの葉を揉めば、薬臭い香りがする。この匂いの主成分が「樟脳」。なんとも懐かしい名前と香りなのだが、クスノキの枝葉を水蒸気蒸留することによって大量に得られることから、昔は「防虫剤」として広く使われていた。アオスジアゲハの幼虫は「防虫剤」の匂いのする葉っぱを好んで食べる。他の虫たちが嫌う樹の葉を食べるように進化したアオスジアゲハは、食べ物をめぐる競争を避けることができた。