穏やかならざる夕焼け

 「赤とんぼ」の歌詞は「夕焼、小焼の、あかとんぼ、負われて見たのは、いつの日か。」で、多くの人は夕焼けの中のアキアカネの姿を想像します。そして、私たちは日没時の西の空が赤く染まり、上の方へ目をうつすと,橙から黄となり,高い空は濃い青になっているのを何度も見てきました。夕焼けの起こる原因は,光の散乱です。太陽の光が地球の大気に入り、地平線に近い所を地面すれすれに進んで来ると,波長の短い、青の光は人間の目に届く前に、散乱によってなくなり、波長の長い、赤の光だけが残るのです。

 レヴィ・ストロースは『悲しき熱帯』で、日没の風景を述べています。ブラジルへ向かう航海で見た日没の風景と日没を眺めながら沸き起こる感慨を克明に記していますが、また「これらの現象を定着するための言葉を見出す」ことの難しさも記しています。では、画像のような昨日の夕焼けは私たちに何を感じさせ、何を考えさせるのでしょうか。多くの人は石川県の大雨に呼応して、異常気象を象徴する現象の一つだと思うのではないでしょうか。

 静かな雨から荒れ狂う雨まであるように、長閑な夕焼けから不吉な夕焼けまで自然は様々な姿を私たちに見せ、手を替え品を替えて訴えているように思えるのです。