サルスベリの花

 仏教の三大聖木は無憂樹、菩提樹、沙羅樹ですが、日本では気候の違いによって育てることができず、代用樹が用意されました。既にナツツバキについて記しましたが、ナツツバキは沙羅樹の代用です。無憂樹(アショーカ樹)は橙色から紅色の細かい花を沢山つけ、それに花姿が似ていたサルスベリが代用となりました。確かに、私の記憶の中のサルスベリは近くの寺の境内に植えられていた木です。その木によく登って遊び、すべすべの木肌を今もよく憶えています。

 そのサルスベリの花が湾岸地域でも咲き出しています。湾岸地域の東雲や有明には寺が一つもないのに、サルスベリが歩道に植えられ、やはり街路樹になっているムクゲと花の競演となっています。サルスベリは花色が赤、ピンク、白と実に賑やか、耐病性もあり、必要以上に大きくならないためか、人々に好まれるようです。また、最近は矮性の園芸種も多く、それらもあちこちで咲いています。初秋までの長い期間に渡って花を楽しむことができるため「百日紅(ヒャクジッコウ)」という別名がありますが、実際の花期は2か月ほど。

 記憶の中のサルスベリは宗教的理由で、今のサルスベリは実用的理由で植えられているという違いはあっても、いずれもサルスベリであることに違いはありません。